ステータス・ゲームの心理学:なぜ人は他者より優位に立ちたいのか
『ステータス・ゲームの心理学』という本では、人間社会において、個人の地位や評価を巡る競争(ステータス・ゲーム)が展開され、それが心理的な動機付けになっていることを説いています。この考え方は、オンラインゲーム『信長の野望 Online』にも通じるところがある。
具体的には、信オン内の社会構造を以下の3つのステータス・ゲームとして整理できます。
支配ゲーム(力のゲーム)
対人戦や勢力間合戦などを通して「強さ」や「支配」を競い合うゲームです。プレイヤーは強力な装備を揃え、強いパートナーと共に、他プレイヤーを圧倒することを目的とします。このゲームにおけるリーダー像は、圧倒的な戦力と統率力を発揮し、仲間を導きながら勝利を掴みます。一方で、勝敗に執着しすぎるあまり、コミュニティに軋轢を生むこともあります。
具体例
- 合戦を指揮する強豪プレイヤー
- 対人戦ランキング上位を目指すプレイヤー
美徳ゲーム(協力と共存を目指すゲーム)
美徳ゲームでは、他者との協調・互助が評価されます。プレイヤー同士が相互に支援しあい、初心者支援やコミュニティの活性化を図るなど、社会的なつながりを重視します。
具体例
- 初心者支援を積極的に行う私設会話のリーダー
- 生産職人として格安で装備を提供し、コミュニティの維持を図るプレイヤー
成功ゲーム(名声や評価の獲得競争)
個人の注目度や名声、他人からの評価が動機になるゲームです。希少なアイテムや特別な称号、目立つファッション、配信やブログなどで評価や名声を高めます。
具体例
- 個人のサイトやSNSなどの配信で注目を集めるプレイヤー
- レア称号・希少アイテムを所持し、それをSNSなどで公開するプレイヤー
3つのリーダー像
それぞれのゲームに特化したリーダーが存在しています。
- 支配型リーダー(力のリーダー)
- 対人戦や勢力戦で指揮力を発揮し、勝利や強さにこだわる
- 美徳型リーダー(仁徳のリーダー)
- コミュニティ活動を通じて相互扶助を進め、新規プレイヤーの定着を促す
- 成功型リーダー(名望家)
- 独自コンテンツを作成し、ゲーム内外で有名になり注目を集める
考察まとめ
信オンの世界では、実社会と同じように、この3種類のステータスゲームが存在しています。特定のリーダーがどのステータスゲームに最も関心を持ち、そのリーダーが属するコミュニティがどのような価値観を持つかによって、ゲーム内社会の特性や経済的影響も変化。
オンラインゲームを分析する上で、この視点を取り入れることで、プレイヤーの行動原理をより深く理解し、コミュニティ運営やゲーム内経済の動向を予測・分析することが可能ではないのか?と考えます。